捨て去る人 親子のSSです。暗い・・・内容が。

もううんざりだ。
すべてを消し去りたい。

15年生きてきて出せた答えがこれしかないなんて、本当に僕は頭が悪い。

そう・・・僕は頭が悪い。
なのに周りの人間はそれを認めようとしない。『お前はできる子だ』と僕に言い続ける。僕の失敗を見てその目に失望の色を浮かべるくせに、その口から吐き出す言葉は何時も同じ。

『頑張れ』
『信じてる』
『お前はできる子だ』

うるさい。うるさい。うるさい。
あなたたちの目は腐っているのか?

僕は頭が悪いんだよ。あなた達の期待になんて応えられるわけないんだ。
ちゃんと僕を見てよ。

無理なんだ。無理なんだよ。僕は頭が悪いんだ。
認めてよ。駄目な僕を認めてよ。苦しいよ。

耐えられないんだ。僕は、これからも一生周りの人間に失望を与え続けて生きていかないといけないの?
嫌いなんだ。
父さん、母さん・・・僕は、その目が大嫌いなんだ。
怖いんだ。
何時か・・・・あなた達は、その失望の目を侮蔑の目に変えるんじゃないの?

『駄目な子』『駄目な子』『駄目な子』『駄目な子』『駄目な子』『駄目な子』

ねえ、僕が駄目な子なら・・・・この世に存在しちゃ駄目なの?
ねえ、成績が少し落ちただけでどうしてそんな目で僕を見るの?

僕は存在しちゃ駄目なの?

僕は頭が悪いんだ。どうしよう・・・・・どうしたらいいの?
こんなことしか思いつかない。僕は・・おかしい。

でも、楽になれるのかな?
あなたたちを・・・・この家を消し去ったら、僕は楽になれる?
この家は僕を閉じ込める檻なんだ。でも、僕は駄目な人間だからこの檻の中で餌を与えられないと生きていけない。一人では生きていけないよ。

怖い。でも・・・・もう嫌なんだ。そんな目で見られるのはもう嫌なんだ。
ねえ、僕の存在って何?
あなた達にとって僕の存在ってなに?

苦しい。おかしいよね?僕は、おかしい。
間違ってる。こんなのは、間違ってる。

でも楽になりたい。
全部消し去りたい。この檻を消し去りたいんだ。

燃やして。燃やして。


ボッ


「燃えろ、燃えろ、燃えろぉーーーーーーーーーーー!!」



全部、無くなれ。
無だ。

僕は無になる。全部無になる。楽になれる。
きっとなれる。


熱い。熱い。


熱いよ。


終わりだ。全部・・・・消える。


檻が消える。

「お父さん・・・お母さん・・・・・あぁああああっーーーーーーーあああああーーーーー」

熱いよ。肺が・・・・焼ける。

僕の15年が燃えていく。全部、全部。

痛い。痛い。
胸が焼けてる。ああ・・・ああああああ。
怖い。怖い。怖い。

「父さんっーーーーーーーー、母さん、助けてっ!!助けてぇーーーーーーーー、ひいぃいいい」


助けて。助けて。
僕は、本当は。

こんな終わり方嫌だ。僕はまだ、僕の人生を歩んでない。一歩も歩んでいないんだぁああああーーーーー!!

「熱いっーーーー、嫌だよ。死にたくない!!痛いよぉおおおーーーーー」




助けて。
神様。


***********


家が焼けた。

息子の叫び声で、俺と妻は目を覚ましなんとか逃げ出すことができた。息子もやけどを負っていたが命に別状はなかった。やけどの治療で病院に入院した夜、息子は泣きながら謝りつづけた。
俺には息子の気持ちが理解できない。

何故家に火を放ったのか・・・・

理解できなくて、俺はただ黙って息子を見つめるしかなかった。掛ける言葉も思いつかなかった。
俺は怯えていたのかもしれない。理解不能な存在に恐怖すら感じていた。怒鳴り散らすこともできず、ただじっと息子を見つめるだけだった。
そんな俺から息子は怯えたように視線を逸らす。がたがたと体を震わせて、ベットのシーツに顔を埋める。そんな息子を妻が庇うように抱きしめた。まるで、俺が犯罪者のような息苦しさを覚えて病室を出た。

病室を出た途端、涙が溢れてきた。
俺は狼狽しつつ、男子トイレに駆け込んだ。洗面の鏡に映った男は、酷く疲れた顔をしていた。その目からは、とめどなく涙が溢れ続けていた。

これからどうやって生きていこう?
家は焼けた。息子が放火した。

でも、息子はまだ子供だ。あの子を責めてどうなる?意味がない。
あの子は責めない。
そうだ・・それがいい。
言ってあげよう、何度でも。

『信じてる』『頑張れ』『きっと再生できる』


俺は自分に誓ったはずだ。あの子が生まれてきた時に・・・・自分の親が育てたようには育てまいと。
失敗するたびに殴られ、酷い言葉を投げかけられたあの日々は俺にとっては悪夢でしかなった。

だから、息子が生まれた時に誓ったじゃないか。
何があっても、これだけは言い続けようと。

『信じてる』『信じてる』『信じてる』『信じてる』

大丈夫だ。
きっと大丈夫だ。俺たちは再生できる。きっとできる。




(おわり)



*************


親子でも恋人でも、本当に理解しあうことなんて不可能だ。
なのに、どうして望んでしまうのだろうか?
理解して欲しいと。
最初からその可能性を捨ててしまえばいい。
人間は一人だ。
結局この親子が、理解し合えていないように。

でも、それでいいじゃない?




***********



・・・・って、なんすかーーー??
このSSはっ。おちなしかよっ。


というかーーーーーー。なぜだ。
息子の一歳の誕生日にお祝い記念童話でも書こうと思ったのに・・・うへぇ。

やっぱ、ママは性格が歪んでいるのかしら・・・ふーーーむ。

いえいえ、諦めていません。次回短編は、ほのぼの童話にチャレンジだ!!!

って、駄目兄さんのお話はまたそのうちに・・・・書くかな??









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