駄目兄 兄弟SS②

「おー、美味い。やっぱり、響の作ったカレーは最高や!!」

兄さんが妙に嬉しそうな表情を浮かべてカレーを食べるので、僕は思わず照れ笑いを浮かべそうになった。
危なかった・・・・また誤魔化されるところだった。
「兄さん、誤魔化しても駄目だよ。彼方兄さん・・・何時まで僕の家に居座るつもり?もう三日目なんだけど」
「もう三日やないやろ。まだ三日やろ。響ぃーー、唯一の肉親にそんな冷たい言い方せんでもいいやろ。傷つくやん。俺かて、桜子の許しがでたら速攻あいつのマンションに帰りたいけどまだ許してくれへんねんからしゃあないやろ?」
僕は兄さんの返事を聞いてため息を付いた。
「ねえ、兄さん。桜子さんのヒモみたいな生活を何時まで続けるつもりなの?定職就いて、マンション借りて定住するとかそろそろ考えたら?」
「あかん、あかん。俺に定職は無理やし金もないから部屋も借りられへんわ。それに・・・・独りは寂しいやん。俺寂しがり屋やから、一人寝が耐えられへん。女の胸の中が好きや、俺は。あー、桜子の胸が恋しい。今夜も寂しいから、お前のベットに潜り込もうかな」
兄さんは平気な顔で変な提案をしつつカレーをぱくぱくと食べている。彼方兄さんの言葉を、すんなりと信じ込むと酷い目にあうことはもう経験済みだ。僕は咳払いをしたあと、口を開いた。

「そんなに、桜子さんが好きなら・・・・どうして怒らせるようなことするんだよ?で、何をやって許してもらえないわけ?」

僕の言葉に兄さんがぴくりと反応して視線を向ける。スプーンを咥えたままにやりと笑う。
「好奇心か、響ちゃん。そんなに兄ちゃんの事が気になる?俺の事が好きやねんなぁ。でも、ほんまにつまらんことやで。話すと長いけど、ほんまに聞きたいのんか?」
「じらすなよ!」
咥えたスプーンを唇から離すと、兄さんはにんまり笑ってまるで得意話でするように口を開いた。
「まず、桜子が女友達と北陸に旅行に行ったんがまずかった。俺って、寂しがり屋やから桜子が蟹食って旅行を楽しんでる時に部屋で一人寝って耐えられへんかったわけ。で、友達を部屋に呼んだわけや」

「まさか・・女友達を桜子さんの部屋に呼んだの?」

兄さんがスプーンを振って否定する。
「ちゃう、ちゃう。それはまずいと思って、友達の男女カプを呼んで酒盛りしただけや」
「それだけの事で、桜子さんが怒るとも思えないけどなぁ」
僕の言葉に兄さんが顔を顰めて何故か小声になる。
「いやー、まさかな・・俺も、あんなことになるとは思ってなかったんや。でも気が付いたら・・・3Pしてたんやなぁ、これが」

「3Pーーー!?」

兄さんが照れ笑いを浮かべる。
「そうやねん。桜子が帰ってきたのも気が付かんと、俺らはセックスにのめり込んでたんや。しかも間の悪いことに、桜子が部屋に入ってきた時にちょうど男の尻に突っ込んでるところやってんなぁーー。可哀想に桜子の奴、顔面蒼白やったわ。俺もびびったけど。」
兄さんの言葉に僕は頭を抱えそうになってしまった。兄さんが、男女どちらでも平気な人間だということは知っていたけど・・・まさか、彼女の前で男とやっちゃうなんて。
「最低ーーー、彼方兄さん最悪だよそれ。絶対桜子さん許してくれないよ。まったく、兄さんはどうしてそうモラルがないんだよ。桜子さんくらい我慢強い人はいないのに・・・・こんな兄さんと付き合って三年ももつ人は初めてだよね?本当にいい加減にしないと、捨てられるよ」

「そうやねん!!で、こういう時やからお前から借りた五万が役に立つわけや。あの金で、欲しがってた財布と花でも買って行ったら機嫌が直るかもしれへんやろ?」
「そんなことより、心を入れ替えて真面目に仕事見つけて働いたら?それで、彼女に結婚を申し込んだら一番喜ぶと思うよ。」

「結婚ーー??あかん、絶対無理や。俺、縛られるのんも責任ちゅう言葉も大嫌いやって知ってるやろ?」

兄さんが視線を逸らせてまたカレーを食べ始める。

「何時までも、子供のままではいられないよ?」

僕の言葉に兄さんがうっとうしそうに眉を顰める。
「人のこと心配する前に、お前は彼女でも作ったらどうや?」
「うぐっ・・・」
痛いところを突かれた。兄さんが、僕の表情を読み取って急に優越感を漂わせる。
「響ぃーー、お前にだけは偉そうに男女の仲を語って欲しくないわ。彼女も満足に作れんオタク男に女の何がわかるっていうんや。お前は、電車の写真でオナっとけよ。鉄オタめ」
「に、兄さん・・・言っていいことと悪いことがあるよ!!」
「『何時までも、子供のままではいられないよ?』か?部屋にSLのポスター貼ってる時点で、お前の方がガキやろ。」

む・・ムカつく。

「もういいよ、兄さんには何を言っても無駄みたいだからね。とにかく、桜子さんと仲直りして、早く僕の部屋を出て行ってよね」
僕はそれだけ言うと、兄さんから視線を外してまたカレーを食べ始める。急に部屋が静かになる。不審に思って僕がちらりと視線を上げるとそこに兄さんはいない。
「?」
気が付くと兄さんは僕の横で立っていた。
「な、なに?」

「いやー、俺は何時までたっても子供のままらしいからぁ・・・・兄弟に冷たいこと言われると寂しくて泣きそうになるわけや。ちゅうことでーーー、スキンシップさせろ!!」
「うっあっ!!」
兄さんがにやにやしながら、僕に抱きつき押し倒してきた。
「ば、馬鹿兄!!変態がーーー!!」

「あー、寂しい。寂しい。お兄ちゃんを温めてーーーー」
「キモイことするなーーーー、彼方兄さんっ。離せ、馬鹿!!」

暴れる僕を組み敷いたまま兄さんが、不意に真顔になる。そして、そっと僕の耳に囁いた。

「・・・なあ、大人になるってなんでこんなに苦しいのんかな?俺は・・・できそうにないわ。責任とか義務とか、嫌いや。なんでお前は真面目に生きられるわけ?兄弟やのに、何でこんなに違うのんかなぁ?」

「兄さん」

兄さんが僕の胸に顔を埋める。僕は戸惑って、言葉を失ってしまった。



(つづく)


******

変なところで切ってしまったな(笑)
続き物なのか??この話は・・・分からん。。

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